公務員だけど「公務員の副業と処分」について調べてみました。

公務員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤しむ責務を負っています。そして公務員が全体の奉仕者であることを担保する制度としての処分制度があります。

公務員が禁止されている副業をしたことが発覚すると、当然何らかの処分を受けることになります。

当記事では、公務員の処分制度と副業による処分の事例をみていきましょう。

目次

公務員の処分制度

公務員の処分制度には、分限処分懲戒処分があります。

分限処分

国家公務員の分限処分は国家公務員法第78条に定められています。これは、職員が何らかの理由によって職責を十分に果たせない場合にくだされる、職員の意に反して不利益な身分状の変動をもたらす処分です。

分限処分は公務能率の維持や公務の適切な運営の確保が目的で定められた制度で、処分事由の内容や程度によって免職(失職)、降任、休職、降給といった処分が行われます。

勤務実績の不良や適格性の欠如、心身の故障による職務遂行への支障や職制・定数の改廃、予算減少による廃職などの理由により、免職や降任という処分を受けることが制度上あり得るというものです。

しかしその反面、国家公務員法第75条によって公務員の身分は保証されているので、上記の理由以外で不当に身分を奪われることはありません。

病気や怪我など一定期間職責を果たせない場合でも休職扱いとなり、職を保有したまま休養期間を得ることができるのも、公務員が安定と言われるひとつの要素ですよね。

懲戒処分

国家公務員の懲戒処分は国家公務員法第82条に定められている、職員の義務違反に対する道徳的責任を問うことで科せられる制裁としての処分です。

懲戒処分は職員の道徳的責任を追及することによる服務規律や秩序の維持を目的としており、法律には免職、停職、減給、戒告の4種類の懲戒処分について記載されています。

【懲戒処分の対象】
・法律、条例、規則、規定の違反
・職務上の義務違反や職務怠慢
・全体の奉仕者として相応しくない非行

免職

免職は職を失わせるもので、懲戒処分によって免職になることは特別に懲戒免職と呼ばれます。

停職

停職は職員としての身分は保たれながら一定期間その職務には従事させないもので、停職中は出務することができず、当然その期間中は給与をもらえません。

国家公務員の場合は、最短1日、最長1年間と定められています。

減給

減給は文字通り、本来支給されるべき給与の支給額を一定期間減らされるものです。

期間は最長で1年間、額は棒給の20パーセント以内と定められています。

戒告

戒告は、本人の将来を戒める旨を申し渡すものです。

法律上は最も軽い懲戒処分ですが、戒告を受けたことは記録に残り、賞与や昇給に影響が出る場合があります。

実務上の処分

法律上の処分以外にも訓告や厳重注意という処分があります。

これらは懲戒処分ではありませんが、勤勉手当の扱いによって減額の対象となる場合があります。

訓告

訓告は、義務違反に対してその責任を確認し、将来を戒める旨を申し渡すものです。

法律上の処分である戒告よりは軽い処分とされており、訓告が3回重なると戒告相当となるとも言われているようです。

厳重注意

厳重注意は、正式に「だめですね」と言われるものです。

訓告よりもさらに軽い処分で、さらに軽い「口頭注意」「注意」というものもあるようです。

処分の判断と公平審査

処分の判断

公務員の処分の判断は、法律や人事院規則または条例に基づいて行われますが、懲戒処分の判断は任命権者の裁量に委ねられています。

公平審査

国家公務員であれば人事院の公平審査局に対して、地方公務員であれば人事委員会か公平委員会に対して審査請求を行うことで、処分の再検討をしてもらうことができます。

審査請求に対する裁決に不服がある場合は裁判所への出訴をすることもできます。

公務員の副業とその処分の事例

公務員の副業の事例は数多くありますが、当記事では比較的新しく、今後副業が解禁した際には認められるのではないかという内容のものを紹介します。

事例1、ライティング

岐阜県土岐市の30歳代の男性消防署員が、業務中などにインターネット上に記事を寄稿して報酬を得ていたことがわかった。市は21日、副業禁止など地方公務員法に違反するとして減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にしたと発表した。
 署員は2016年12月ごろから今年7月まで、テーマごとに記事の執筆を請け負い、報酬を受け取っていた。18年1月ごろからは、個人パソコンで勤務中にも記事を書いていた。署員は「多い時は1カ月に50本の記事を書き、最近1年では約120万円の報酬があった」などと話しているという。
 記事は1件あたり約1千字~8千字で、ファッション関係の記事や商品レビューなどを書いていた。消防関連の記事は書いていないという。

【朝日新聞デジタル】消防署員が記事執筆で報酬 副業禁止に違反、減給処分

最初の事例は、消防署の職員がクラウドソーシングでライティングの案件を受けていたというものです。

この消防士さんは1ヶ月50記事を書き、年間120万円も稼いだということで、なかなか頑張りましたね。

もしもこの作業をプライベートな時間にしていたのであれば、理想的な副業のやり方になったのではないかと思いますが、業務中に作業をしていたのはよくありません。推測にはなりますが、許可も取ってはいなかったのでしょう。

(もちろん、禁止されている段階で副業をしてしまったことは大問題です。)

この件で問題となったのは、まず副業をしていたこと、そして作業を業務中にしていたことの2点です。

処分としては1ヶ月間の減給(10分の1)ということで、懲戒処分としては意外と軽いように感じます。

事例2、コンサルティング(恋愛相談)

新潟県内の小学校教諭が有料で恋愛相談に応じたり、恋愛に関するコラムを投稿したりして計約160万円の収入を得ていたことが分かった。県教育委員会が11日、副業禁止の規定に抵触するとして減給4カ月(10分の1)の懲戒処分とし、発表した。
 県教委によると、処分されたのは上越地方の公立校に勤める20代の男性教諭。昨年3月から約1年間、ツイッターなどのSNSを通じて希望者からの有料の電話相談を460件受けた。投稿サイトでコラムの執筆もしていた。
 男性教諭が別の教員に恋愛相談について話したことから発覚した。男性教諭は「フォロワーが増えて面白くて、安易にやってしまった」と話しているという。

【朝日新聞デジタル】SNSで恋愛相談、160万円稼ぐ 小学教諭を減給処分

続きましては、小学校の先生が恋愛相談やコラムを投稿して収入を得ていたという事例です。

この先生は、ある種のインフルエンサーとしての活動を行っていたんですね。

SNSを運用して多くのフォロワーを獲得し、インフルエンサーとなることで収益を生み出すことは、今や誰にでもできます。(もちろん簡単なことではありませんが、、、)

趣味の範囲であればよかったのですが、1年間で160万円もの収入を得てしまうと、それは事業ということになってしまい、活動の規模が大きくなってしまったことが処分につながった要因でしょうか。

処分としては4ヶ月間の減給(10分の1)ということで、ライティングの事例と比較するとやや重い処分がくだされています。

事例3、YouTube

宝達志水町の男性職員(30)が動画投稿サイト「ユーチューブ」に動画を投稿して収益を得ていたとして、町から口頭で注意を受けていたことがわかった。

町によると、大学生だった2011年ごろから車の魅力を紹介するなどの動画を投稿し始め、13年に町職員になった後も継続。現在まで多い時で年20万円ほどの広告収入を不定期で得ていたという。昨年外部からの指摘で発覚。無断での副業は地方公務員法に抵触するため、町が本人に聞き取りをしたところ、事実関係を認めたため、同12月に口頭で厳重注意した。

だが、指摘を受けた後、動画や収益の管理を母親に移し、自身は動画に出演し、制作しているだけだとして、副業ではなくなったと主張。投稿された動画も削除していないという。町は「前例がない。身内との関わり方に問題が無いか、調査を進めていく」としている。

【朝日新聞デジタル】石川)町職員ユーチューブで収益 宝達志水町が注意

最後は、町役場の職員がYouTubeで広告収入を得ていたという事例です。

この職員さんはもともと大学生の頃からYouTubeに動画を投稿しており、公務員になってからも継続していたそうです。

処分としては口頭の厳重注意ということで、懲戒処分はくだされませんでした。

また厳重注意を受けたのちは、管理を家族に任せているとして何となく言い逃れているようですが、この件については税法の考え方として「実質所得者課税の原則」という原則があり、所得の名義変更は法律違反になるため「事実上の所得者」である以上は副業をしているということになると考えられます。

まとめ

公務員の処分にも種類がありましたが、事例を調べてみると公務員の身分を剥奪される「免職」はよほどのことがなければ執行されないように感じます。公務員の副業についても、停職や免職となる事例は副業以外の犯罪行為(主に詐欺罪)が原因となっていることが多いようです。

今回取り上げた事例は、結局のところ何が問題なのか、処分をどうすればよいのかという点について、今までの「別に雇用されることを禁じる」で防げた副業とは違うものなので、任命権者さんは前例もなくてとても悩んだことでしょう。

「公務員は副業をしてはいけない」というイメージが先行してしまい、無許可で副業をしてしまう人たちが多すぎることが、公務員の副業問題を無駄にややこしくしている気がしてなりません。

副業解禁の流れもありますし、公務員もひとりの住民として、プライベートに稼ぐことを認めるべきだと思います。

まあとりあえず、正式に解禁されるまでは、おとなしく赤字ブログとか赤字YouTubeとかやってスキルを磨いておきましょう。

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